Nazuna Yoshida 言葉の墓場 時間の可視化を目的とする織物研究をこの作品で表現しました。一番初めに何を作りたいか考えた時、とてつもなく長い織物を制作したいという思いからスタートしました。そこから、私にとっての織るという行為は時間を忘れるくらい夢中になれる行為であり費やした時間が布という形として残るため時間の可視化を目的とすることに適しているという考えに至りました。 費やした時間が形として残っていくものは他にないか連想して考えた時に日記が思いつきました。私は手帳やノートなどに書き残したりすることが昔から苦手でしたがそんな私でも唯一続けられるものがTwitterでした。その日その時に起きた事、その時の自分の感情や思考を素直に言葉にすることができる場所であり私にとってTwitterは日記であり言葉の墓場だと思っています。自分の中だけで消えていってしまう言葉を誰かに見られる形にすることで自分の言葉が消化されていく気がしてそうやって行き場の無くした言葉の最終的な終着点として利用している人が多くいると私は感じています。 そんな言葉の墓場をコンセプトに日々生み出されていく行き場の無くした言葉Twitter上での言葉でいうツイートを横糸として織り込み過去の時間や思考を形にしていく作業をしようと思いました。 携帯を触ることは日常的な動作であり自分の生活とリンクさせた織りを表現できたらという考えから腰機を使用して制作しようと考えました。古来から伝わる織りものを作る機械を原始機と呼びその原始機の中で腰と体を使って織っていく機械のことを腰機といいます。 サンプルの段階では場所を問わず使うことのできる腰機を自作しその腰機を利用して作りました。 これは綜絖の目を埋めていく作業を取ったものになります。ゼミ生は前期の初めにやった作業になるのですが綜絖をカットしたりサビを取ったり慣れない作業は少し大変でした。 サンプルとして作ったものは文字のサイズや行間の設定などをあまり決めないままやったこともあり文を読ませないように打ち込んで織り上げてしまったため言葉が詰まっている様子が呪いのように感じる作品の見た目でした。 日付を入れることによって時間の可視化に繋がると思ったのと日々のツイートが積み重なって織り上がっていく様子はスクロールしても終わりのないタイムラインのようなイメージで制作しました。 本番では印象をよりTwitterに近づけたいと思いデータ作りから始めました。横糸として入れ込む紙の幅を3ミリに設定する線を入れその幅に合わせるようにツイートをコピーしていきました。 死んでいった言葉たちを扱った作品になるので繊細で壊れてしまいそうな作品にしたいと思い素材をシルクの細い糸に変え、より繊細な素材を扱うために腰機ではなく手織りの織機で作業をしました。 画面上の呟きは文字としての形はあるものの人との関わりみたいなものは無くただの言葉の消化器官のようなものであり現実世界のコミュニティーから離れた空間だからこそ言葉にできることがあると感じています。だからこそ普段の私を知っている人に見られるようなものを作品にしていいものか迷いましたが、今回の作品制作を通して言葉という直接的な表現ではありますが過去から現在までの思考を織っていく作業を楽しんで製作することができました。 人は何かを禁止されると、むしろその物事が気になって逆の行動をしてしまうそうです。この心理現象のことをカリギュラ効果といいうそうです。そんなあまり人に見られたくないものを作品にしてしまいました。この作品を見て不快に思ったりする方もいるかもしれませんがあくまで私個人の独り言であることを了承して見てもらいたいと思います。見てはいけないものを見てしまうような他人の興味を惹ける作品にできたと思うので人の日記を覗き見るような感覚で存分に面白がって頂けたらなと思います。 他の学生の作品を見る 赤城愛梨 Airi Akagi大久保晴夏 Haruka Okubo小川莉央 Rio Ogawa黒山真央 Mao Kuroyama山口莉果 Rika Yamaguchi宮田桃花 Momoka Miyata鈴木麻那 Mana Suzuki吉田夏菜 Nazuna Yoshida