2022年高須賀ゼミナール「TOMO-ZUKURI project」〜織物文化の原点回帰〜

東京造形大学高須賀ゼミナール×エイトリボン 2022年9月3日(土)〜9月4日(日)

高須賀活良ゼミナール(東京造形大学)が、国内最大級ジャガードリボン工場「エイトリボン(福井県坂井市)」の歴史と織物技術を見つめ直し、これからの織物文化に想いを馳せるアート作品を地域住民と共に滞在制作するワークショップ「TOMO–ZUKURI project」を開催しました。

織物はデザインに合わせてタテ糸を1本ずつ上げ下げしながらヨコ糸を通すことで、柄のある1枚の布になります。織物を専門に研究する高須賀ゼミナールでは、エイトリボンで織られたリボンをタテ糸に使用し、一本ずつリボンを人力で操作する織物装置を構築しました。地域住民や今まさに織物を織っている職人さんたちがヨコ糸を通すことで、エイトリボンのシンボルマークを織り上げました。全ての糸にリボンを使用することで、エイトリボンの歴史に新たな歴史を刻んでほしいという願いが込められています。

文献の記録によると、福井県では和銅5年(712年)には織物の生産を行っていたとされています。福井県で行われてきた織物の歴史と、多くの人々の想いと共に作られる1枚の布づくりに参加することで、ものづくりの尊さに触れることのできるワークショップを開催しました。完成した作品は、モニュメントとしてエイトリボンのエントランスに飾られています。

コンセプト

「リボン工場を再生し、未来へ繋げる」というエイトリボンの工場長松川享正さんの活動に感銘を受け、福井県の方々と共同で大きな織物を作るイベント『TOMO-ZUKURI project 〜織物文化の原点回帰〜』を企画しました。TOMO-ZUKURI(共造)とは、エイトリボンで使われているジャガード織機の起源である、空引き機(そらびきばた)を動かす人々(空引き工)のことです。この歴史は飛鳥時代にまで遡ります。現在、綜絖(タテ糸を1本ずつ動かして柄を織りだす装置)は全て電子制御で動かしていますが、飛鳥時代では人が上に乗って人が綜絖となり織物が織られていました。

時代は移り変わり、世の中が便利になるにつれてモノづくりの背景は見えづらくなっています。そんな現代に空引き機の手法を用いて、多くの人の手を必要とする織物を、地域住民と共に制作することで、モノづくりの本質を探りました。これからのエイトリボンを象徴するモニュメントの制作を試みました。

出典 精選版 日本国語大辞典

モニュメント完成イメージ

このワークショップの実現に向けて、私たちは技法の検証・染色実験・織機の設計・織物の設計など多くのサンプル制作を行いました。

織物の構造を見るためのサンプルです。ジャガード織機で経糸の動きを制御するための検証を行いました。ドビー織機を用い、経糸の赤と青のリボンを用いて、エイトのロゴを織り出しています。

リボンを用いた実寸大のスケール感を見るためのサンプルです。外枠の大きさは横1メートル、縦2メートルです


イベント当日の様子

いざ、福井に向け出発です。


①工場の現地での織機組み立て作業

②工場の方とのワークショップ

③一般の方々とのワークショップ

④オブジェ完成・展示


TOMO–ZUKURI project 〜織物文化の原点回帰〜

日時|2022年 9月2日(金)10:00 企画のプレゼンテーション(プレス、工場の方)

2022年 9月3日(土)4日(日)10:00-16:00 イベント開催(一般参加可)

場 所|㈱エイト(エイトリボン)  〒910-0271 福井県坂井市丸岡町堀水13−8

WEB|http://takasuka-seminar.com/

参加費|無料

企 画|東京造形大学 高須賀活良ゼミ


エイトリボンとは?

エイトリボンは、福井県丸岡にある国内最大級のシャトル織機(旧式)を使った※チロルリボン工場です。エイトリボンの前進となる「丸岡エイトリボン協業組合」は8社のリボン工場によって、高度経済成長期の1961年(昭和36年)4月1日に発足しましたが、時代の流れと共に衰退し破綻し、2015年に54年の歴史に幕を閉じました。エイトリボンは、世界的にも希有な織技術と希少価値の高い工場を再生するために工場を復活させ「株式会社エイト」を起業し、廃材を使って工場をリノベーションしました。糸がチロルリボンに変わる瞬間を間近で見ることができる織物工場見学やリボンを楽しめるカフェを併設したショップを展開します。伝統を受け継ぐ為に、今まさに奮闘しています。
建物の前にある駐車場

中程度の精度で自動的に生成された説明

㈱エイト(エイトリボン) 

〒910-0271 福井県坂井市丸岡町堀水13−8

※チロルリボン=ジャガードリボン